TOPみんなでつくるリネアストリアウィッグは、わたしと咲く。髙橋絵麻「誰かの光になれるなら。」

ヨガスタジオ「Living space Atha.」オーナー、インストラクター。34歳の時乳がんステージ3aの診断を受け、「しこり触ってねキャンペーン」「生きるを伝える写真展」を展開。「じぶんを大切にする」ことをテーマに講演やメディア出演、執筆と幅広く活躍中。

乳がんが判明して

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乳がんって確定するまでに、私の場合2週間くらい時間がかかったんですね。その時はもう覚悟決めていて、娘と一緒に病院に行って先生から「お母さん残念です」って、そういう言葉で告げられました。子供も下の子がまだ3ヶ月でしたし、ヨガスタジオの仕事にもそろそろ復帰というタイミングでした。しかも2週間後にヨガフェスタ出演という大きな仕事が決まっていたのにそれもキャンセルしなきゃいけない…あれこれ考えましたね、治療が始まったらウィッグか…とか、髪型ぜんぜん変わるな、みたいなのもありました。家族にはLINEで「乳がん確定でした」と。それだけしか送れませんでした。それ以上のことを書き始めたらもう号泣しちゃうし…そう思いました。

やっぱり突然乳がんになって受け入れられないじゃないですか、なので最初は「なんで私だけ?」とか「知りたくない!」と。車の中では一人になれるので号泣しながら運転するんですね。「うわー!!」って叫んだり。でも泣くことって浄化のひとつだと思うので、ちょっと発散できるんですよね。実はもともと中学時代に不登校の時期があったり、その後にも「心がしんどい時期」がありました。そんな時期から復活できたという経験が、乳がんの時も活きたのかなと思います。

子供2人もまだ小さいし、主人も家事とか育児とか不安だろうからその負担もとらなきゃいけない。何か行動していないと涙が止まらない、家の中がお通夜みたいにならない為にもとにかくアクションを起こさなきゃ!というのは昔の「心がしんどい時期」の経験で分かっていたんです。だからまずは頼れる相手をたくさん作っておこうと、いろんな友達に電話しました。でも友達に電話して泣く、友達も泣く、どう言ったらいいか分からないし話もどこで切り上げていいか分からない、というのが何人か続いて。これはちょっと違うな、どこか〝着地点”のようなものが欲しいと思って、「キャンペーンだ!」ってひらめいたんです。そうやって動き始めたのが、「しこり触ってねキャンペーン」だったんです。

しこり触ってねキャンペーン

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それはこんな構想でした。自分の胸のしこりをたくさんの女性に触ってもらう、抗がん剤で脱毛した髪がない姿で写真を撮影する、それはきっとアートの一部にも見える。Youtubeも撮影する。拡散してたくさんの方に知ってもらう、と。これだ!って思いました。もちろんただ面白いだけでなくて、二人に一人はがんになるって言われる時代で、自分のおっぱいに関心を持ってもらう、自分事として考えてもらって早期発見につなげるのが目的です。そしてもうひとつ、髪の毛がないって恥じることではないし、髪の毛がないことも一つの選択肢になれば女性はもっと楽になれるんじゃないかという考えもありました。これをそのままストレートに伝えると重すぎるけど、こんなキャンペーンにして少しポップに伝える。驚きと感動はセットにして伝えないと社会には伝わっていかないかなっていう考えも、最初から頭にありましたね。

キャンペーンを始めてみて反響は大きかったです。たしかに擬似的な乳がんのしこりが入った乳房の模型はあります。でもこれは講演でもよく話しますけど、「あんな豊満なおっぱいを皆さんお持ちですか?」って。参加者さんの中には「私おっぱい小さいから乳がんにならないと思ってた」と思い違いされている方もたくさんいましたし、やっぱり自分の手で実際にしこりを触っておくと…後々にがんを発見できるんですよね。実際に今まで何度も「以前キャンペーンに参加したんですけど、実はなんかしこりがあるような気がして…」と、ご自身の乳がんを発見されたという連絡をよくいただきます。そして触ってもらうだけじゃなくてセットにして伝えているのが、「これくらいでも初期の乳がんだから。大丈夫だよ、怖いものじゃないよ!」ってことです。怖い怖いってなりすぎて触らない、病院に行けない、という方もいますけど、これを払拭していきたいという思いがあります。

美味しくないガムを
噛んでいる自分に気づく

髙橋 絵麻様の写真
髙橋 絵麻様の写真

周りから見ると私って、すごく前向きに見えているみたいですけど、実は全然そうじゃなくて必死なんです。中学時代に不登校の時期があったり、東京ではエステの仕事に就いていたんですけど、「本当の美って、本当の輝きってなんだろう」とか考えて会社の方針に違和感を感じて迷う時期がありました。元から“もっともっと”という成長志向が強くて、「仕事も頑張らなきゃ、良いお母さんでありたい良い奥様と思われたい」とかそういうことをすごく考えていました。そしてそれを反芻(はんすう)して自分が苦しくなるというか。

たとえば他人のSNSをみて羨ましくなったり、自分がよくできていない部分に落ちこんだりすることは今でもあるんですけど、最近はそんな自分に気付けるようになりました。「あ、私また美味しくないガム噛んでるな」って。自分の状態に気付けると、〝感情”ってお洋服と一緒なので、そんな“感情”だったら一旦脱ごうって思えるんですよね。これは私じゃなくてお洋服なんだから抜け出そう、とりあえず、と。「やらなきゃ」って縛ってたのは自分か、みたいな。結局自分で自分をがんじがらめにしてたんですよね。今は大手をふって、「今日は家事をしない!」って決めてる時もありますし(笑)やれる時にやるよって。こう考えられるようになったのは、「飽きるまで悩みきった」経験があるからかなと思います。

乳がんに対してもそうで、「死」というものに対して、怖いともちろん思ったし、なんでこんなに怖がってるんだろうとも考えました。最初はがんとか死について考えることを受け入れられなかったけど、でも真正面から「死」にぶつかってみて湧いてきたのが「結局今できることをやる」ってことでした。そしてその覚悟がだんだん決まってきた感覚もあって。死なない人は存在しないし、だって娘たちとここから10年一緒に生きれるのか、20年一緒にいれるのかって、分からないじゃないですか。一般の人よりはそこまで一緒にいられる可能性も低くなっているかもしれないし。だったら子供たちにも、残したいんですよね。親の背中を見せたいという気持ちもすごく強くて、どんどんどんどん行動していってます。おっぱいがなくなるってなった時もすごい落ち込みましたよ、でも「だったらもう作品にしてしまえ!」みたいな。自分がやる事で誰かの光になれるならと。その為にこれはやり切ろうと思って。

生きるを伝える写真展

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キャンペーンを通して色々な方とも繋がらせていただくようになって、「生きるを伝える写真展」にも繋がっていったんです。写真展を作ったきっかけは、だって綺麗じゃないですか?すごいかっこいいじゃないですか?ぼうず姿の女性ってと思ったことなんです。髪の毛がなくてもなんら恥じることはない。私はそう思っていたので、ニコって笑って撮影してましたね。「自分が欲しい社会は自分で作ろう」、そんなことをを考えていました。聞いてみるとウィッグユーザーさんの中には、ご主人に「僕の前ではウィッグを脱がないでくれ」って言われている、ご主人にもそう言われてしまう人がいるんだってことを知った時に、「えーーー!!これは無いな…」って思っちゃって。ちゃんと「当たり前」のことが「当たり前である社会」にしたい。そうでないのならば、そんな社会を自分で作ろう、その為に行動しようと。今ではたくさんの方にも賛同していただいて全国でも写真展が開催されるようになりました。リネアさんと韓国で開催するのも面白そうですね(笑)もっともっと広げていきたいなと思っています。おっぱいひとつ無くたって、髪の毛がなくたって、あなたの本質の輝きは失われてないよって、そう伝えたいです。

writer:Murase Junpei

メッセージ

マイナスも楽しんじゃおう!!