入院前と入院中の生活
抗がん剤治療中の生活
私は約5か月間抗がん剤治療をしました。その間仕事はお休みしていたので、自宅でのんびりと過ごすことができました。
抗がん剤を投与して1週間経過すると薬が体から抜けていく感覚があり、体調が一気に楽になるタイミングが回を重ねるごとに分かってきました。「来週のこの日は出かけても大丈夫そう」と予測してスケジュールを立てていました。
味覚が薄かったので、カレーライスや中華等の味のはっきりしたものを食べに行ったり、車や自転車を運転してお花見に出かけたり、仕事が休みなのをいいことに出かけまくっていました。看護師の同期も私が家で暇してるのを知っていて、毎日のように入れ替わりで誘ってくれてありがたかったです。
抗がん剤治療中は白血球が下がっていて感染症にかかりやすいので、マスクや手洗い等の感染予防はしっかりしていました。
手術は抗がん剤治療が終わって3週間後位でした。手術前のCT検査で、抗がん剤がよく効いてくれて「画像的に残っているがんはなさそう」と言われて、とても嬉しかったです。頑張ったかいがありました!
入院中の生活
手術2日前に入院、麻酔科や看護師から説明があって当日を迎えました。両親が来てくれましたが、私の坊主頭を見たくないと言われていたので、手術室の看護師に「手術から帰ってくる時は帽子を被せて欲しい」とお願いしておきました。病院は暑いし術後は微熱もあるので帽子は暑くてすぐにでも脱ぎたかったですが(笑)。
手術は乳房全摘と脇のリンパ節郭清(りんぱせつかくせい)で2時間位でした。午前中には帰室していましたが、5時間はベッド上安静で、その日は絶食。夕方から動けるようになりましたが、ドレーン、点滴が繋がれていて、そして胸にガッチガチの圧迫保護でベッドから起き上がるのも大変でしたが、消灯前には一人で歯磨きや洗面も片腕で何とかやっていました。
2時間おきに看護師が出血がないか確認に来るのですが、その時に圧迫しているバンドを外して手術創を見せてもらいました。「思ったより傷きれい!」という印象で看護師も「最近の中では一番きれいだと思う」と言ってくれたのを覚えています。
術後は鎮痛剤を内服していましたが、違和感はあるものの痛みはほとんどなく、心配だった出血や創部感染、リンパ液の溜まりもなく順調に回復し、手術から3日後にはドレーンをぶら下げたままシャワーも入れました。
リハビリ
手術翌日から毎日作業療法士の元でリハビリが組まれていました。リハビリは、乳房全摘とリンパ節郭清の手術の影響で腕の動きが悪くなったり、リンパ浮腫(りんぱふしゅ)の予防を目的としています。
リンパ節郭清とはリンパ節を取ってしまうことですが、そうするとリンパ液の戻りが悪くなってしまい、ちょっとしたことでリンパ浮腫を発症してしまいます。
例えば患側(かんそく)の腕に過重をかけたり、血流が良くなりすぎたり、虫刺されや傷による感染症などで発症してしまいます。
一度リンパ浮腫になってしまうと治らないと言われていて、腕が3倍くらいの太さになって不自由になることもあるので、リンパ節郭清をした患者さんは一生腕のケアを続けなくてはなりません。
私も仕事がら子どもを抱っこすることが多かったのですが、今はそれが難しくなってしまいました。術後2週間位で退院。今は退院して1年以上経過しますが、現在もリハビリとリンパマッサージは続けています。
入院中は病棟に同じ乳がんの患者さんばかりで、20歳代の子も多かったのですぐ仲良くなって、色々と情報共有していました。
ウィッグのメーカーの話や病院近くのカフェ、彼氏の話、治療方針や治験を受けている話などなど。皆さん自分の経験から良かったことや失敗だったこと、不安等沢山話してくれましたが、やっぱり気になっていることは似ているので、この情報交換はとても貴重な場でした。
また、自分が治療中に同じ病気の人が経過良好で元気に過ごしているのは、自分の励みになるし、希望をもって治療に臨むことができるので情報共有はとても大事だなと思いました。今も数人の方と連絡を取り合っていますが、術後結婚した方もいて私も後に続きたいなと思っています。