抗がん剤治療中の方へ抗がん剤治療ご経験者様エピソードDokoさま

抗がん剤治療
ご経験者様エピソード Dokoさま

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Doko

2018年11月に卵巣癌&子宮体癌が発覚。翌月よりTC療法+アバスチンにて化学療法をスタート。
2019年4月に寛解。現在は、再発防止のためのアバスチン単剤での維持療法中。

History

卵巣癌(ステージ1a)と子宮体癌(ステージ1a)が発覚。共に類内膜腺癌、グレード3(低分化型)のため手術を受ける。
抗がん剤治療・TC療法(パクリタキセル・カルボプラチン)+アバスチンにて化学療法を開始。仕事に復帰。初ウィッグとなる「天使のレイヤーCカール」予め購入。
TC療法2回目終了後から、ウィッグ着用開始。
寛解。
再発防止のため、アバスチン単剤での維持療法をスタート。
脱ウィッグ

目次

Episode1

今思えば癌の兆候だった症状

2018年6月 卵巣癌発覚の4ヶ月前

食生活も運動習慣も何も変えていないのに徐々に体重が増え始めたんです。特に下腹部が少し出てきた感じがしました。

食事制限をしても体重はなかなか減らず、どうしてだろうと思っていました。40歳を超えると代謝が落ちて痩せにくくなると聞いたこともあったので、きっと年齢のせいなんだろうと。

そしてもう一つの小さな異変。この頃からうつ伏せの状態から起き上がる時に、時々下腹に痛みを感じていました。起き上がる時に無意識に「イテテテッ」と言っていたのを家族が覚えていました。それ以外は特に変わったことはなく、毎月の生理も至って順調で生理痛もなし。自分が婦人科系の病気になるなんて思ってもみなくて。本当に健康体で病気とは無縁な生活を送っていたのです。

2018年8月 卵巣癌発覚の2ヶ月前

生理が終わってからちょうど1週間ほど経った頃、不正出血がありました。鮮血で量も結構出ていたけれど、これを不正出血だと思わずに、かなり早いけど次の生理がきたのだと思いました。ところが、出血はすぐに止まりました。

「あれ?生理ではなかったのかな?」

「時期的にもしかしたら排卵出血だったのかもしれない」

今まで一度も排卵出血なんてしたことなかったけれど「更年期も近づいているのでいろいろと体に不調が出るものなのかな?」程度にしか思っていませんでした。全ては年齢のせいだと、軽く考えていました。

ところが、不正出血から2、3日後のこと。仕事が終わりに、駅へと向かって歩いていた時のことです。 今度は下腹部に激しい痛みを感じました。歩けなくなるほど膀胱付近が痛くなりました。帰宅ラッシュで大勢の人が賑わう中、痛みをこらえて歩幅を狭くして少しずつ前進し、冷や汗をかきながら帰宅しました。

不正出血に続いて今度は下腹部の激痛。膀胱付近だったこともあって、膀胱炎だろうと思い、翌日薬局で薬を買って飲みました。今考えると、嫌な予感を払拭するためにむしろ膀胱炎であってほしいと思っていたのだと思います。

膀胱炎なら抗生物質を飲めば治る。ただ、この時、排尿時には痛みを感じていませんでした。膀胱炎ならば排尿痛があるはず。本当は膀胱炎ではないかもしれないと思いつつも3日間抗生物質を飲み続けました。

膀胱付近の痛みは治りましたが、今度は右の卵巣付近がこぶし大くらいの大きさに腫れていて、触るとその部分だけ硬いことに気がつきました。「明らかに膀胱とは違う場所が腫れている。これは卵巣だ」初めて卵巣に異変を感じたのはこの時でした。

2018年9月 卵巣癌発覚の1ヶ月前

卵巣付近の下腹部に違和感を感じつつも病院には行かずに様子を見続け、とうとう体重は3キロ増に。知人からは「もしかして妊娠した?」と聞かれました。「妊娠してないわっ」と笑ってやり過ごすも、心中複雑でした。

「やっぱりなんか下腹がおかしい」

「今まで下腹だけ出てくるような太り方はしたことがない」

不正出血があった時から約2週間が経過していました。卵巣の腫れを感じてからも2週間。この頃になると、卵巣の腫れというよりもむしろ下腹部全体が膨れていたのです。まるで妊娠初期の妊婦さんのお腹のようで、明らかに太って下腹が出てきているような脂肪でブヨブヨした感じではなく張っている。

さらに、毎日37度2分程度の微熱がでるようになり、体全体がだるく常に下腹にキリキリとした痛みと熱を感じるようになっていました。そんな症状を緩和させるために毎日ロキソニンを飲むようにもなりました。

気になってネットで「下腹が痛い」「下腹が膨らむ」で検索してみると、生理前症候群の症状の中に「下腹ポッコリ」というのを見つけました。ちょうど次の生理が来る予定の2週間前だったこともあり「そうだ!これだ!」と思いました。「今は生理2週間前で下腹部がポッコリする時期なんだ!」って。とにかく次の生理が来れば全て解決すると信じて、体調が悪いながらも様子を見続けることにしました。

そして、予定よりも10日ほど遅れて待ちに待った生理がやってきました。しかし期待していたようなことは起こらず、生理が始まっても下腹部の膨らみは元には戻りませんでした。下腹部痛は悪化し、下腹部はますます膨れて大きくなっていました。

ゆるゆるだった手持ちのボトムもボタンが全く閉まらない。ウエストがゴムのボトムでないと履けないほど膨らんでいました。まるで妊娠3ヶ月目の妊婦さんのようなお腹になっているのが自分でもわかる。下腹部が張っているせいで食欲もない。だんだん体調が悪くなってきているのは明らかでした。

「これはもう病院に行かないとダメだ」 職場近くの婦人科クリニックに行ったのが、2018年10月1日のことでした。

結局、最初に不正出血、卵巣の異変を感じてから婦人科受診までの期間は1ヶ月。今思うと、当時私に起こった下腹の痛み、微熱、下腹が膨れる、不正出血などの数々の症状はまさに「卵巣腫瘍」の症状でしたが、ネットで調べていても「卵巣腫瘍(悪性)」もしくは「卵巣嚢腫(良性)」というキーワードがすぐには自分には結びつきませんでした。当然「卵巣癌」だなんて夢にも思っていませんでした。

卵巣癌の症状として

卵巣癌の症状として、腹部の張り(腹部膨満感)、肥満でも妊娠もしていないのにお腹が張って膨らんでくる、自分で下腹部を触った時にしこりに触れる、下腹部痛、頻尿、胃腸障害、体重減少などがありますが、当時「頻尿」「胃腸障害」「体重減少」の 3つの症状が私にはありませんでした。それ以外の症状は全部当てはまっていましたが、この3つの症状が無かったことで自分は卵巣癌ではないと思っていたのです。結局は、その後に大学病院の婦人科を受診してから緊急入院するまでの約1ヶ月間で、「胃腸障害」と「体重減少」の症状も起こりました。

当時は、不正出血と下腹部痛を排卵出血と排卵痛だと思い、卵巣の痛みを膀胱炎だと思い、おりものの変化(匂いや水っぽくなるなど)や微熱を骨髄腹膜炎だろうと思い、体重増加や下腹部の膨らみを生理前症候群だと思いました。

卵巣癌の可能性を考えるべく数々のシグナルが出ていたにもかかわらず、まさか自分が癌だなんて夢にも思わずに婦人科の受診へ向かいました。

Episode2 受診~入院