脱毛症の方へ脱毛症ご経験者様エピソードmitan様

脱毛症
ご経験者様エピソード mitan

mitan様のプロフィール写真

mitan

4才で脱毛症を発症後、全身の脱毛症へ。脱毛症の治療で受けたマッサージがきっかけで按摩マッサージ指圧師になる。現在、2児の子育てをしながら、治療院勤務。オンラインセルフケアレッスンも行う。

Episode3

高校~専門学生時代

高校時代

高校生時代は、人のうわさ話や外見にとても敏感な年頃でした。仲の良い子同士でいくつかのグループに分かれて話していることが多く、自分について何か言われているのではないかと感じ、人の目が怖かったです。
そのため、学校の教室ではなるべく席から動かないようにじっとしていました。なぜかというと、ブラウスの襟に後ろの毛がちょうど当り、髪が左右に分かれてしまうので、産毛のない地肌が見えてしまいそうで怖かったのです。

そんなことで?と思われるかもしれませんが、ウィッグだとばれるのが嫌だったので、下を向いて、教科書を見ることもできず……みんなが黒板の方を向いて座っているので、後ろからの視線が気になり、教室にいることがとても窮屈でした。

この頃から「ウィッグだから出来ない」と感じる場面が増えてきて、悔しい思いをすることも多かったです。
私の場合は、この悔しい思いの積み重ねで「自分のやりたいことや好きなことは絶対する」という気持ちが強くなっていきました。
それから少しずつチェレンジするようになり、浴衣を着た時や踊りの発表会の時に、ウィッグに付け毛をしてヘアアレンジをしたり、真夏の体育館で大汗をかきながら格闘技にチェレンジしたり、風がビュービュー吹く屋外で楽器の演奏をしたり。
今思うとチャレンジャーですね(笑)

専門学校時代

専門学生の時に、初めてクラスメイトに向けてカミングアウトをしました。指圧の専門学校だったので、ペアになり全身のマッサージをする授業があって、自分の頭のことを言わないといけない状況になってしまったのです。

その時代の一般的なかつらのイメージは、ネガティブでからかいの対象だったので、カミングアウト前は、かつらという言葉がマイナスな印象に受け取られないかが気がかりでした。
そして、どういう風に伝えたら重く受けとられないか?また、クラスメイトに言ったとして、隣のクラスにも噂が広がってしまったら嫌だな~といろいろ考えてしまいました。

伝えた内容は二言三言話した程度でしたが、とても緊張しましたし、声のトーンは小さめだったと思います。でも、後からクラスメイトの数人が、私が勇気を出したことを「頑張ったね」と褒めてくれたんです。予想していなかった反応が嬉しくて、次の授業の時間は、みんなに気づかれないように一人で泣いていました。

この経験は、私の人生の中ですごくプラスになりました。
伝える前は「私の病気は、人に話しても分からない。
この気持ちは、この病気になった人にしか分からない」と心を閉ざしていました。

でも伝えてみたら、自分のことを受け入れてくれる人がいることをしり、自分が思っていたよりもみんな優しいんだと知ることができました。
自分に自信がある訳でもなく、こんな私でいいのかな?と思いながら生きていたところもあったので、ネガティブに思っていた部分をクラスメイトが受け入れてくれたことが、とても心に響きました。

「こんな自分でもいいんだ」と、自分を少し受け入れられたので、それからは人と話したり関わることがより楽しく感じられるようになりました。

このカミングアウトがなかったら、学校で学ぶことも出来なかったですし、良い出逢いもなかったかもしれません。
一歩一歩の歩みでも今振り返ると、大きな前進になったと思います。

Episode4 脱毛症のコミュニティ