円形脱毛症
円形脱毛症は人種や性別、年齢にかかわらず発症する自己免疫疾患が原因と考えられており、男性型および女性型脱毛症(AGAやびまん性脱毛症)に続いて多い脱毛症といわれています。
頭部での症状としては「単発型」「多発型」「蛇行型」「全頭型」の4つに分類され、その中でも「単発型」と「多発型」が円形脱毛症に分類されている最も一般的なタイプといわれています。
症状
ここでは、4つに分類をされた症状の特徴をそれぞれご紹介します。
分類 |
特徴 |
単発型 |
円形脱毛症の中で最も多く、頭部に円形や楕円形の脱毛斑(だつもうはん)ができることが特徴です。 約80%の方が1年以内に治癒するといわれています。 |
多発型 |
脱毛斑(だつもうはん)が2つ以上できることが特徴です。完治まで半年~2年ほどかかる場合が多いといわれています。脱毛範囲が大きくなることもあります。 |
蛇行型 |
後頭部から側頭部の生え際に沿って、蛇のように脱毛斑(だつもうはん)が広がることが特徴です。完治まで数年かかる場合があるといわれています。 |
全頭型 |
脱毛斑(だつもうはん)が全体に広がり、髪が完全に抜け落ちてしまうことが特徴です。治癒しにくい例が多く長期にわたる治療が必要な場合があるといわれています。 |
原因
円形脱毛症は、「自己免疫疾患」と呼ばれる、免疫機能に異常が発生し髪の毛の毛根組織を攻撃してしまうことが原因とされることが多いです。
自己免疫疾患はアトピー性疾患 やストレス、遺伝的要素が関係しているといわれています。
対策
円形脱毛症は、皮膚科や専門クリニック、大学病院で治療されており、治療方法も様々です。
まずは専門医の方に相談し、症状に合わせた治療法を選びましょう。
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症は、主に女性に見られる髪の毛の密度が全体的に薄くなる症状の総称で女性の薄毛や抜け毛で最も多いのがびまん性脱毛症といわれています。
びまん性脱毛症の「びまん」とは、広範囲に広がるという意味で、頭部の広い範囲で髪が細くなりボリュームが薄くなりやすいです。
原因は様々で、ホルモンバランスの変化やストレス、ヘアケアに伴うダメージや薬の副作用などがあります。
症状
びまん性脱毛症の特徴は、男性型脱毛症(AGA)とは異なり、頭部の広い範囲で髪が細くなりボリュームが減ることです。
髪のボリュームが減った、分け目が薄くなった、地肌が透けて見える、抜け毛が増えた等の症状がある場合、びまん性脱毛症の可能性があります。
原因
原因は様々ですが、主にホルモンバランスの変化が原因として挙げられることが多いです。
加齢や生活習慣の乱れ、過度なダイエットなどにより女性ホルモンの分泌量が減少しホルモンバランスが崩れてしまうことが脱毛の原因とされています。
また、ヘアカラーやパーマのしすぎ、間違ったケアなど、ヘアケアに伴う頭皮へのダメージや、服用中の薬の副作用による脱毛も原因として挙げられています。
対策
日常生活やヘアケアなどの見直しで改善される場合もあります。
改善が見られなかった場合は、専門医師への相談をおすすめします。
ホルモンバランスを整える
女性ホルモンの分泌量が減少することによる脱毛の場合、女性ホルモンの分泌量を増やすことが大切です。
規則正しい生活や、食生活で体の内面をケアしてあげることで女性ホルモンの分泌を促します。
ヘアケアを見直す
ヘアカラーやパーマをしばらく控えたり、日常で使うシャンプーを低刺激のシャンプーに変えるなど、頭皮に優しい状態を心がけましょう。
頭皮のダメージを減らすことで、発毛を促進します。
病院で治療を受ける
生活習慣の改善や頭皮ダメージを抑えても症状が改善しない場合は、専門医師に相談しましょう。
皮膚科や脱毛症専門のクリニックの診察を受けることで、症状に合わせて外用薬や内服薬の処方があります。
産後脱毛症
産後脱毛症は、産後の女性ホルモンの減少により妊娠中に生え代わるはずだった毛髪が一気に抜けることにより、抜け毛・薄毛を感じることをいいます。
生え代わりのサイクルが乱れている状態なので、ホルモンバランスが整うと自然と回復していきます。
症状
本来1日に平均して100本近く抜けるものが、産後に一気に生え代わるため抜け毛が多く感じたり、生え代わりが追い付かず薄毛に見えたりしてしまいます。
産後4か月以内に脱毛が始まりますが、多くの場合産後8か月までには抜け毛が落ち着き自然に回復していきます。
生え際や頭頂部が薄く見える場合が多いです。
原因
妊娠中は女性ホルモンが増加することから、髪の生え代わりの周期が崩れ毛髪が抜けにくくなります。
通常毎日生え代わりのために抜けていた毛髪が、妊娠中に抜けにくくなり、産後に女性ホルモンが減少することで一気に抜けてしまいます。
対策
睡眠時間や食生活、ヘアケアなどの見直しで改善される場合もあります。
改善が見られなかった場合は、専門医師への相談をおすすめします。
ホルモンバランスを整える
女性ホルモンの分泌量の減少による脱毛のため、女性ホルモンの分泌量を増やすことが大切です。
産後すぐはお子様優先となり余裕がないことも多いですが、睡眠不足や栄養不足はホルモンバランスを崩す原因となるため、できるだけ規則正しい食事を心がけご家族と協力をして睡眠時間を確保しましょう。
ヘアケアを見直す
日常で使うシャンプーを低刺激のシャンプーに変えるなど、頭皮に優しい状態を心がけましょう。
頭皮のダメージを減らすことで、発毛を促進します。
無毛症
無毛症は、本来生えるべき場所の毛が生まれつきない状態で、先天的な原因により発症するといわれています。
同じように先天的な原因により毛が少ない状態を乏毛症といいます。
無毛症と似た症状で脱毛症が挙げられますが、脱毛症は後天的な要因により脱毛するとされているため、無毛症とは区別されます。
症状
無毛症は生まれつき毛が全く生えない病気です。
頭部全体が生えてこないこともあれば、全身の体毛が生えない場合もあります。
また、成長に伴い突然発症することもあります。
原因
生まれつきの遺伝子異常が原因とされています。
両親が無毛症の場合は、子供も無毛症になることがあります。
対策
現段階では効果的な治療法は見つかっておらず、ウィッグを使用するといった対処療法が中心となります。
乏毛症
乏毛症は、先天的な原因により日本人の約100人に2人の割合で発症する、生まれつき頭部の毛量が少ない遺伝子疾患です。
同じように先天的な原因により毛が生えない状態を無毛症といいます。
症状
乏毛症は生まれつき毛量が少なく、ふわふわとした縮れ毛を伴うことが多い病気です。
原因
生まれつきの遺伝子異常が原因とされています。
両親が乏毛症の場合は、子供も乏毛症になることがあります。
対策
これまでは治療法は確立されておらず、ウィッグを使用するといった対処療法が中心となりますが、最近の研究ではAGA治療薬(ミノキシジル外用薬)が有効であると発表されています。
ただし、副作用も確認されているため医師との相談が必要です。
抜毛症
抜毛症は、精神的な不安や緊張感により自身の毛を抜くことをやめられない脅迫症の一種です。
思春期の前後に発症することが多く、90%が女性とされています。
症状
自身の毛を抜くことにより気持ちが落ち着く、スッキリする、という状態から、毛を抜くことがやめられなくなります。
特に大きなストレスを感じた際に意識的に抜いてしまうこともあれば、テレビなどを見ている最中に無意識に抜いてしまい気付けば頭部が薄くなってしまうということもあります。
原因
主な原因としてはストレスが挙げられています。
精神的な不安や緊張感から髪を触る癖がつき、毛を抜いた瞬間の満足感や開放感から繰り返してしまうとされています。
対策
抜毛症により薄くなった頭皮には、クリニックで外用薬を処方してもらいましょう。
毛を抜いてしまうという行為の治療は、行動療法や精神療法など、専門クリニックで症状に合わせた治療を受けましょう。