円形脱毛症について

アレルギー科をご担当されていた先生に、脱毛症に関するお話を伺いました。
原因や症状、検査・診断、治療法などを教えていただきましたので是非、ご参考にしてください。

概要

円形脱毛症は頭髪の一部または複数の箇所に類円形の脱毛斑が認められる疾患です。10円玉程度の脱毛というのが一般的ですが、頭部全体や、頭髪だけではなく全身で脱毛が生じることがあります。
精神的ストレスがきっかけといわれていますが、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や膠原病、甲状腺疾患などの合併がみられることがあります。

単発型

単発型の円形脱毛症のイラスト

類円形の脱毛班が、頭部の一部に認められる。

多発型

多発型の円形脱毛症のイラスト

類円形の脱毛班が、頭部の複数の箇所に認められる。

全頭型

全頭型の脱毛症のイラスト

類円形の脱毛班が、頭部全体に脱毛が生じる。

汎発型

汎発型の脱毛症のイラスト

頭髪だけではなく、全身で脱毛が生じる。

原因

円形脱毛症は自己の免疫機能に異常が生じ、自分の体の一部を自己の免疫が攻撃してしまう自己免疫疾患であると考えられています。
自己の免疫細胞であるTリンパ球が何らかの原因で毛根を包む毛包部を攻撃することで脱毛が生じると考えられます。精神的ストレスなどがきっかけとなり、リンパ球が過剰に働いてしまい円形脱毛症を引き起こすと考えられています。
円形脱毛症の患者さんはアレルギー疾患や甲状腺機能低下症を背景に持つことがあり、これらも原因の一つと考えられています。
また遺伝も関係していると考えられています。

症状

円形、斑状の脱毛が頭部や体毛のある部位に生じます。脱毛する前に痒み、違和感、淡い発赤を伴うこともあります。毛髪には頭皮に近づくにつれて細くなる感嘆符毛、漸減毛などの所見が認められます。
また、毛髪以外にも爪に小さな溝やくぼみが出現することがあります。

検査・診断

円形脱毛症は典型的な症例では脱毛部の特徴的な形態(円形、斑状など)から診断をつけることが可能です。
しかし円形ではなく診断が困難な場合には、頭皮を拡大視して観察するダーモスコピー検査を行ったり、軽い力で頭髪を牽引し容易に脱毛することを評価する抜毛テストを行うこともあります。
また血液検査で甲状腺疾患や自己免疫疾患、アレルギー疾患など他の病気はないかを調べることもある。

治療

円形脱毛症の治療方針は年齢・脱毛の面積・急性期か慢性期かなどの病期により決定します。軽症の円形脱毛症では自然軽快することもあります。
脱毛斑が小さな発症後間もない場合は、ステロイド軟膏の塗布やグリチルリチン、セファランチンなどの内服治療を行います。
これらの治療で改善がない場合は、脱毛斑にステロイドの注射をするステロイド局所注射療法が行われます。
また、人工的にかぶれを引き起こす薬剤を塗って発毛を促す局所免疫療法が行われることもあります。重症で急速に進行する場合は、点滴で大量のステロイドを3日間投与する点滴静注ステロイドパルス療法を行います。
また、血液検査で甲状腺疾患や自己免疫疾患、アレルギー疾患など他の病気はないかを調べることもあります。

その他

円形脱毛症の発症機序は明確には分かっていません。
しかしストレスをためないことや適度な運動、規則正しい生活、十分な睡眠が予防には重要であるとする意見が多くあります。
治療抵抗性の場合はウイッグの利用をしたり、自然経過をみるなどの選択肢もガイドラインに示されています。

<参考文献>
日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版

病院のご紹介

脱毛症の症状が発症した際は「どの病院に行けばいいのか」「何科を受診すべきなのか」など、迷われることもあると思います。
そこで、脱毛症の治療を行っている全国の医療機関をまとめました。

掲載している医療機関は「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版」の作成に携わり、脱毛症外来などが設置されている医療機関です。

病院を探されている方、迷われている方のご参考になれば幸いです。

脱毛症治療ができる病院紹介