ウィッグは染められるの? ウィッグの染色について

ウィッグの人毛、人工毛の色、ヘアカラーをどうやって作っているのか?というご質問をよくいただきます。
そこで今日は、人毛ウィッグがどのようにしてカラーリングされて、あるいはそのままでウィッグになるのか、そして人工毛のカラーがどうやって作られているのか、自分で人工毛を染めることはできるのか?
について少しご紹介します。
今回はそんなお悩みのある皆様に、長持ちさせるための秘訣をお伝えします。
人毛ウィッグの染色について
フルウィッグに使用される人毛ですが、カラーに関しては大きく分けると2つの種類の人毛があります。
ひとつは「カラーリング毛」といって、人毛の色素をいったんすべて脱色しほぼ金髪に近い状態までした上で、そこから統一されたカラーに染色することでカラーを作っていく人毛の作り方です。
この作り方をするメリットとしては、「カラーの統一感」ということがあります。
例えばナチュラルブラックというカラーに染色した人毛は、ほぼ同じ「ナチュラルブラック」というカラーに出来上がります。
なので同じウィッグをリピート購入した際に、以前購入したウィッグと色のブレが比較的少ない、ということになります。
デメリットとしては、脱色することで髪の毛が傷んでしまうことがまずあります。
これは自毛をブリーチすると髪が傷んでしまうのと全く同じです。
LINEASTORIAでは、できるだけ人毛を傷めないような脱色方法を採用しています。
もう一つのデメリットとして、だんだんカラーが薄くなっていくことです。
どうしても人毛を染色していますので、使用して紫外線に当たる度、シャンプーする度に色が落ちて明るくなってしまいます。
バージンカラーの人毛について
一方で人毛のフルウィッグには「バージンカラー(天然色)」を採用しているウィッグもあります。
これは、さきほどのカラーリング毛の「脱色→染色」工程を経ずに、人毛そのままのカラーでウィッグを作っているものです。
フルウィッグひとつを作るには複数人の方の髪の毛が必要となるので、できるだけ色合い・髪質が似ている方の髪の毛を合わせて、ひとつのフルウィッグを作成しています。
メリットとしては髪の毛を傷める脱色工程がないので、健康な髪の毛そのままでウィッグを生産できます。
また染色してカラーをつくっているわけではないので、シャンプーによる色落ちも軽微です。
(日光にあたることでの日焼けによる色の変化は起きてしまいます)
デメリットとしては、天然のカラーとなりますので全くに同じカラーというのは生産が難しくなります。
人工毛の色合いの作り方について
一口に人工毛といっても、様々な会社が人工毛(ファイバー)を製造しておりカラーも様々です。
私も一度、人工毛の製造工場を見学したことがありますが、おおまかにいうと人工毛の製造工程は以下のようになります。
米粒大のポリエステルのビーズ(基本的には白色)に、カラー調合用のポリエステルビーズを加えます。
どのカラーのビーズをどれくらい加えるかの配合によって、カラーが決定されます。
それらのビーズが釜の中で熱せられて溶け、ドロドロの液体となっていきます。
ドロドロの液体は若干冷えてゲル状になった状態で、ストロー状の管の中に入れられて細さ0.1ミリ以下の糸となります。
その後各種加工工程(光沢をなくす工程や耐熱ファイバーにする工程)を経て、25キログラム、あるいは40キログラムの単位で箱詰めされ、人工毛用繊維として出荷されます。
人工毛を自分で染める方法について
人工毛(ポリエステル)を染めることが可能なのかどうかに関しですが、基本的には可能です。
LINEASTORIAの工場では、「プリン染色」や「オンブレ染色」をよく行っています。
これらはウィッグを生産する前の段階、毛束の状態の時に染色を行なっており、染色された人工毛でフルウィッグやエクステンションを生産しています。
ポリエステルを「染める」ということについてですが、これは「脱色」をしているのではなく、あくまで「着色」を行っています。
なので、もともとがブラック系の人工毛に対して、赤色や青色をのせようとすると綺麗なカラーにはなりにくいです。
なので、ブラック系のグラデーションカラーなどを作りたい場合は、もともとがホワイト系の人工毛を用意して、毛先だけを明るいカラーで染め、根元をブラック系のカラーで染め上げてつくったりもします。
そして、ご自宅で人工毛を染めることが可能なのかどうかですが、こちらも基本的には可能です。
(ただし、あくまでLINEASTORIAとしては推奨はしておりませんので、ご自身の責任でお願いいたします)
ポリエステル用の染色剤をご用意いただければ、ある程度は任意のカラーに染められます。
しかし、やはりブラック系の濃いカラーの人工毛をいきなりピンクやイエローに染めるのは難しいです。
そういった場合は、一旦レッドやブルーなどの色にある程度染めて、そこから2段階方式でピンクやイエローに染めていくとより染まりやすいです。
またポリエステルにも石油由来のものと植物由来のものがあり、若干染色剤の染まり具合が異なります。
LINEASTORIAが使用している人工毛(ポリエステル)はほぼ石油由来のものとなります。
染色剤にどれくらいの時間を浸すのかということですが、布などを染める場合に比べるとかなり短い時間で染まるかと思います。
一度実験されてから染色されるのが良いかと思います。
まとめ
- ・人毛ウィッグの染色には、あらかじめ脱色→染色をしているカラーリング毛がある。
- ・バージンカラーの人毛は、脱色も染色もしていないので、自毛と同じようにカラーリングが可能である。
- ・人工毛を自分で染めることもポリエステル用の染色剤を使用すれば可能である。 ただし、その際はご自身の責任にて染色してください。