抗がん剤治療中の方へ抗がん剤治療ご経験者様エピソードりみのさま

抗がん剤治療
ご経験者様エピソード りみのさま

りみの様のイラスト

りみの

現役看護師。急性期総合病院から小児科クリニックへ転職した半年後に浸潤性乳管癌と診断される。ルミナルB、HER2陰性。
術前ケモ、乳房全摘、腋窩郭清、放射線治療を終えホルモン治療中。

目次

Episode3

治療方法

抗がん剤治療の内容

私の乳がんのサブタイプ(がんの性質)は、ER:100%、PgR:0%、Ki-67:5%、HER2(-)という診断でした。

簡単に言うと、ERとPgRは女性ホルモン、Ki-67は乳がんの増殖能、HER2はがん自体がこのタンパク質を持っていれば分子標的薬が使えるということになります。

私はステージ3c(遠隔転移はなし)で、女性ホルモン依存性が高かったことから、抗がん剤治療でがんを小さくしてから、手術で左乳房全摘+腋窩リンパ節郭清、その後ホルモン剤内服で再発予防をする流れとなりました。

脇や胸骨リンパ節にも転移している可能性が高かったため、術後の病理検査で抗がん剤でもがんが消えていなければ放射線治療をする可能性もあるとのことでした。

全摘手術と同時に乳房再建をしたかったのですが、再建手術で胸のふくらみを作るために皮膚を伸ばす必要があり、放射線治療を行うと皮膚が固く伸びなくなってしまうため、再建は困難になるということで諦めなければなりませんでした。

抗がん剤治療は、ECとパクリタキセルという薬を投与。ECは2週間に1回を全4回。副作用で白血球が下がる副作用があり、感染すると治療が受けられなくなるのでEC投与した翌々日にジーラスタという白血球を上げる注射もワンセットでした。それが終わったらパクリタキセルを毎週12回行いました。ちなみにEC1回投与で2万円、ジーラスタは1回3万円。パクリタキセルは1回1万円位でした。

抗がん剤治療の副作用

副作用はECの方が強めで嘔気、味覚障害、貧血、倦怠感など、パクリタキセルは手足の痺れ等。今は副作用を抑える良い薬も出ていて、個人差はありますが昔にくらべて嘔気や貧血症状もかなり楽になったと思います。実際に私はずっと食欲マックスで、抗がん剤中に3キロ太りました(浮腫みもあるのですが)。

個人的に辛かったのは味覚障害でした。治療開始から1か月経過した頃から甘味が感じられなくなり、徐々に塩味も薄くなりました。最終的にはシュガードーナツの砂糖の味が分からなくなってびっくりしました。

食感と後味が気持ち悪くて、チーズやチョコは舌にまとわりついてラードを食べている感じがしました。味覚障害はありましたが性格がチャレンジャーなので、その時に何が食べられるか調味料を舐めたり、色々試して遊んでいました。お出汁は美味しかったので食事には困らなかったのですが、スイーツ好きな私は食事の楽しみがなくて寂しかったです。でも砂糖は無味でしたが、何故かフルーツは甘くて美味しかったです。

味覚障害は、抗がん剤が終わって2週間位経った頃に徐々に戻ってきました。味覚が戻った時「食べ歩きやコンビニで食べたいもの選べるって素敵!」と感動したのを覚えています。特に酸味のあるものが美味しかったので、友達には「妊婦の悪阻に近いね、プレ悪阻体験できたね」と言われていました。

ECもパクリタキセルも副作用には脱毛必須でした。私は治療開始して2週間半位から少しずつ抜け始めてきました。

そして3週間目。シャワーで手櫛をしただけでもっさり抜けきて、シャワーの終わりどころが分からなくて本当にお風呂から出られなかったので、覚悟を決めて全部手櫛で抜きました。排水溝は髪の毛でいっぱいで、鏡を見ると若干髪が残っていて落ち武者のような私がいました(笑)。

元々髪が抜けても元に戻ると分かっていたので、どちらかと言うと痺れや心臓や肺の合併症の方が怖いと思っていました。一気に髪が抜けた時はさすがに驚きましたが、さほどショックはありませんでした。お風呂で坊主頭見て笑った気がします。

Episode4 入院前と入院中の生活