抗がん剤治療中の方へご経験者様インタビューKorinさま
Model Interview

心の準備をすること。
ずっと笑顔でいること。

病気の発覚

最初は去年の4月にたまたま仕事中に脇の下にビビビビビって電撃が走って。
なんだろうって思って右胸の乳頭を触ったらしこりが出来ていたんです。
家に帰って娘になんかしこりがあるんだけどって触ってもらったら、牛乳瓶の飲み口ぐらいのトゥルントゥルンっていう感触があって。
お願いだから病院に行ってって娘に言われて、それで病院に行きました。
もし娘が言ってくれなかったら多分そのままにしておいたと思います。

病院に行ったらとんとん拍子に話が進んでいって、MRI、CT、骨シンチ、針生検と。検査のベルトコンベアに私が乗っているような状態(笑)
先生には検査結果がでないと分からないと言われたんですけど、でもPC画面でMRIとかCTのところの備考欄に「乳がん」というのを見ちゃったんですよね。あ〜そうなのかな、って。

結果はやはり乳がんだったんですけど、一般的な乳がんとは違ってHER2タイプの疑いがあって。
進行性の癌だからすぐに手術って話も出たんですけど、一度抗がん剤で小さくしてからにしましょうって、術前抗がん剤からスタートしました。

22歳の娘と16歳の息子には病気の話をしました。
息子は私よりショックだったみたいで、なかなか部屋から出てこなかったですね。
でも出て来た時には、色々調べてくれていたみたいで、ストレスが良くなかったんじゃないかとか、そんな。娘はもうやるしかないよねって。なったんだからしょうがないじゃないって。それはすごく励みになりました。

抗がん剤治療と家族の支え

初めて抗がん剤治療をやった時には、白血球がすごく下がって緊急入院しました。
その後は抗がん剤をした後には必ず白血球を上げる注射をして。
それでもよく熱が出て入退院を繰り返すことになって、それが一番イヤでしたね。

子供たちは文句ひとつ言わないんですよ。
見舞いに来てくれても早く帰ってきてねって言葉も言わないし、ゆっくりしてればいいじゃん~みたいな(笑)
自分より子ども達のほうが強いなって思って。
副作用で味覚がなくなっちゃって、そこを息子が気を遣ってくれたのか、作るとマズイから作んなくていいって(笑) 自分たちで作るからいいよっと言ってくれて。
掃除も自分たちでやるからって。いい掃除機買ってくれたらって条件付きでしたけど(笑)
ここまで優しくてしっかりしてるんだなって思いました。

娘は幼稚園の先生をやっているんですけど、私の調子がいい時には「お買い物行こう」「ランチ行かない?」って誘ってくれて。
病気になる前から親子っていうより友達感覚だったんですけど、本当に子供たちには助けられました。

脱毛して娘に言われた一言

髪の毛が抜け始めたのは、1回目の抗ガン剤で入院して、退院して、帰ってきてシャワーを浴びている時。
その時ちょうど娘が帰って来たんですけど、「開けないでね」っていいました。
「髪の毛が抜けちゃったから」っていうと、娘は「いいから見せて」って言ったんです。絶対ショックを受けるよって思ったんですけど、ドアを開けたら娘が「あらステキ」って。
こんなボロボロの状態なのに、「ステキ」って言葉がでてくるんだって、もう励まされて。
息子の方はできれば見たくないかなって、正反対なんですね(笑)
髪の毛は手術のちょっと前くらいから生え始めて、今はショートヘアくらいです。

ずっと笑顔でいること

病気になって、すべてが180度変わりました。それは、生活環境から性格まで。以前は男っぽい性格だったし、言葉づかいも悪くって言いたいことポンポン言ってたんです。それが今は心に余裕ができたっていうか、相手の話をうんうんってずっと聞くようになりましたね。

そして、もう常に笑顔でいようって約束したんです。看護師さんになったAちゃんから笑っている方が絶対素敵だからずっと笑顔でいようって言ってもらえて。じゃあ苦しかったとしても、何があっても笑顔でいるねって約束したんです。
子供達とも、体調が辛い時はイヤな顔しているかもしれないけど大丈夫になったらゲラゲラ笑うから、ずっと笑うからねって言って。そうして一番しんどい時でも笑ってました(笑)

点滴が通らなくて、もう次の点滴はどこから入れるんだろうって精神的にも落ちた時もあるんですよ。どうしたらいいんだろうって苦しかった時期もあったけれどここで泣いたって仕方ないし。ここで強くならないと、この病気には絶対勝てないなって思って。
子供達に迷惑はかけたくないし、責任もあるからこれは絶対に勝ってやる!という気持ちが自分の中で芽生えました。

なんでそんなにポジティブでいられるのって言われますね。
息子は抗がん剤が頭に入っちゃったんじゃないの、とか冗談で言ったり(笑)
でも口が悪いのも笑わせてくれようとしてなので。
だからこうやって、今自分がこうしていられるのは、子ども達がいたからだって、そう思います。

メッセージ

私もウィッグを早めに買って、心の準備をしていました。急に脱毛して慌ててウィッグを買おうとすると慌ててしまうと思いますし。髪は抜けるけれど、また生えてくるので。
今日の撮影も、ウィッグを外して撮る写真もあっていいかなって。その方が見てる方も分かりやすいじゃないですか。
こうやって抗がん剤が終わったら、このくらいでここまで生えてくるよ、ちゃんと生えてくるよっていうのを見せたかった。
娘もありのままの自分をさらけ出した方が絶対いいって。
息子は「なんで行くんだよそんな撮影」って。
また正反対でしたね(笑)

Kaorin’s
HISTORY
治療・ウィッグ・お仕事など
あれこれ

2016年5月 病理組織検査。
リネアストリアでウィッグ購入。
2016年6月 抗がん剤(FEC100)治療スタート。3週間毎に点滴を4クール。
副作用で白血球減少、熱、全身のだるさ、味覚障害、脱毛、皮膚の乾燥、鼻血、便秘、むくみ。
白血球の減少により入院。白血球を上げる皮下注射を抗がん剤の度に投与。
2016年8月 抗がん剤(ドセタキセル、カルボプラチン)、分子標的薬(ハーセプチン)治療スタート。3週間毎に点滴を4クール。
白血球の減少により入院。
2016年12月 右胸全摘出、エキスパンダー挿入手術。
分子標的薬(ハーセプチン)治療スタート。3週間毎に点滴を1年間(2017年7月に副作用により終了)。
ホルモン剤(タモキシフェン)服用スタート。副作用でめまい、頭痛(2017年6月副作用により中止、2017年7月からアリミデックスに変更予定)。
2017年1月 仕事復帰。
インタビュー日:2017年6月24日

みなさんのエピソード紹介中!